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Japanische Klassiker mit Furigana

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あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.548 Zeichen · 47 Bildschirme

Aozora Bunko

と去定が訊いた。

竹造は「人が倒れています」と云い、溝の中を覗きこんだ。

「おい」と竹造は呼びかけた、「どうした、おい、どうかしたのか」そして、もっと覗きこんであっと叫んだ、「ああ血だ、ひどいけがをしているようですよ先生」

「触るな」と去定が云った。

近よってみると、溝の中に若者が一人倒れていた。石でたたんだその溝は、幅も深さも三尺たらずで、水はないが、横に倒れこんだ男の躯は身動きもできないようであった。去定は提灯の光を寄せて男のようすを眺めた。年は二十七八にみえる、めくら縞の長半纏にひらぐけをしめているが、着崩れで胸も足も裸同様であり、元結が切れてさんばら髪になった頭から、顔の半面、胸まで血に染まっていた。男は荒い息をし、低く呻いていたが、去定が声をかけると、躯ぜんたいがぴくっと動き、いきなり仰向けになると、右手を胸の上で構えた。その手は九寸五分を握ってい、それが提灯の火で氷の断面のように光った。

「おちつけ」と去定が云った、「おれは小石川養生所の医者だ、おまえはひどいけがをしているがどうしたんだ、喧嘩か」

男は顔をあげた、「誰かそこらに、そこらに人はいませんか」