Japanische Klassiker mit Furigana
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みがわりのはなよめ
身代りの花嫁
野村 胡堂
Lesen Sie 身代りの花嫁 (みがわりのはなよめ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.685 Zeichen · 22 Bildschirme
ずっと離れた降車口の階段の方に、衿巻で顔を隠して一時間も立って居た人があった。――って言うんです。あまり不思議だから、駅夫が顔も様子もよく見て置いたってんですって」
「それが氏家さんに間違はないでしょうね」
「駱駝の黒い帽子、ロイド眼鏡、――それだけならよくあるでしょうが、赤帽の荷物と衝突して、手の甲を怪我なすったのを、駅夫は見て居たんですって、赤帽には過がなかったので、その顔を隠した人は、手巾で傷を結えながら、あべこべに赤帽にあやまって――その間も、神戸行の急行に目を離さなかったんですって」
勇美子は実によく調べました。石井弁護士もこの二人の少女の熱心と頭のよさに舌を巻きましたが、
「棒紅の毒薬は?」
最後の大きい疑に行きつまってしまいました。
「詩子お姉様の針箱の中に、一糎ばかり口紅の付いた針が一本入って居たんです」
「…………」
「お姉様も知らないそうです。第一近頃忙しくて針を取る暇もなかったんですって――」
「…………」
「多分、針で棒紅へ穴をあけて、注射針で毒薬を入れたんでしょう。その時人に見られそうになるかなんかして、注射針は隠したが、縫針は隠せなかったんでしょう」