Japanische Klassiker mit Furigana
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みがわりのはなよめ
身代りの花嫁
野村 胡堂
Lesen Sie 身代りの花嫁 (みがわりのはなよめ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.685 Zeichen · 22 Bildschirme
口紅の中に恐しい毒
口紅の中に恐しい毒
自動車の衝突はよくあることですが、暗がりから飛出して、花嫁の自動車へ全速力で叩きつけるのは少し念が入り過ぎて居ります。
その上、前燈も消したまま、番号礼もあったかなかったか、――多分なかったように思いますが――と言う春藤良一の言葉で、警察も捨てて置けないことになりました。
相手の自動車は、それっきり行方を晦まし、時が経つと、突き止める手掛りもありません。あれだけの衝突をしたのですから、自分の車も大分破損して居るには相違ありませんが、早くも車庫へ入れたものと見えて、気の付いた時はもう、影も形もなかったのです。
花嫁の詩子は清純そのもののように育った娘で、なんの後暗いことも、人に怨まれる覚えもありませんが、誰かこの結婚に不服なものがあって、詩子を殺そうとしたのではあるまいか――、警察はごく常識的に、そう考えたのも無理のないことでした。詩子はそう思われても不思議のないほど、美しくあり、富んでも居たのでした。
怪我は大したことはありませんが、それでも、旅先で間違があってはならぬと言う母親の心遣から、新婚旅行はそのまま中止になりました。