Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みがわりのはなよめ

身代りの花嫁

野村 胡堂

Lesen Sie 身代りの花嫁 (みがわりのはなよめ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.685 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

命がけの詭計――人形が可哀相

中には寝室用の蛍光電灯が一つ点いて、なんとなく神秘な空気を漂わして居りますが、寝台の上の詩子は、物音に目を覚す様子もなく、神々しいほど美しい片面を見せて、向うを向いたまま、スヤスヤと睡って居ります。曲者は二、三歩進みました。寝台の下の美しい絨毯を踏んで、用意した短刀を振り冠ると、目の前でキラリと光ったものがあります。

「あッ」

驚くと同時に打ち下した短刀、寝台の上の詩子の胸に、柄も徹れと刺して居たのです。

命がけの詭計――人形が可哀相

翌日早朝、詩子の後見人関谷文三郎は寝巻のまま、自宅で捕縛されました。

自動車を衝突さしたのも、口紅に毒薬を入れたのも、飾電灯に細工をしたのも、詩子を撃ったり刺したりしたのも、悉く関谷文三郎とその子分の仕業だったのです。

関谷文三郎は元支那あたりまで押廻したゴロツキでしたが、詩子の兄が外国へ行くと、正直そうな顔をして日本へ帰り、巧みに親類方に取入って詩子の後見人になり、その夥しい財産を片っ端から自分のものにしてたり、滅茶滅茶に費ったりして居たのです。

詩子が自分と一緒に居るうちは、殺すとすぐ疑をかけられますから、わざと結婚を急がせて春藤家へやった上、世間の習慣で、結婚の挙式と、法律上の入籍手続の間に、半年なり三月なりの余裕のあるのを見込んで、籍を入れる前に、なるべく春藤家で殺し