Japanische Klassiker mit Furigana
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みがわりのはなよめ
身代りの花嫁
野村 胡堂
Lesen Sie 身代りの花嫁 (みがわりのはなよめ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.685 Zeichen · 22 Bildschirme
疑は求婚者の氏家青年へ
「これは大変よ、お姉様、――私にはよく解らないけれど、化学の実験で嗅いだ○酸の匂がするワ。もしそうだったら、この紅を使った人は死ぬかも知れないワ」
「まア」
「ちょっと待ってね」
勇美子は棒紅を持って飛出してしまいました。
疑は求婚者の氏家青年へ
衛生試験所で検べさせると、詩子が使いかけた棒紅の中には、犯罪史上にも珍しい詭計が仕掛けてあったのでした。
くわしく書くわけには行きませんが、とに角、棒紅のまん中に縫針で突いたらしい小さい穴が縦に開いて、その穴の中には、人間が三十人も死ぬほどの猛毒が仕込んであったのでした。
穴の上部は紅の屑で塞いでありますから、なんにも知らずに旅へ出かけたとしたら、三日目頃薬液が働きかけて、花嫁は旅先で死んでしまったことでしょう。
「勇美子さん有難うよ。お蔭で命が助かりました」
詩子はそう言って、勇美子の手を取りました。日頃から落付いた詩子ですが、こう聴いた時は、さすがにまっ青になってしまいました。自動車の衝突は偶然ということがありますが、口紅の中に猛毒を仕込むのは、どう考えても偶然や洒落ではありません。
すぐ警察へ――と思いましたが、新婚早々それはあまりに人騒がせなので、勇美子の口を封じて、そのまま黙ってしまいました。