Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つげびと

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (つげびと) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.955 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

告げ人

雨が落ちたり日影がもれたり、降るとも降らぬとも定めのつかぬ、晩秋の空もようである。いつのまにか風は、ばったりなげて、人も気づかぬさまに、小雨は足のろく降りだした。

もうかれこれ四時過ぎ五時にもなるか、しずかにおだやかな忌森忌森のおちこち、遠くの人声、ものの音、世をへだてたるものの響きにもにて、かすかにもやの底に聞こえる。近くあからさまな男女の話し声や子どもの泣き騒ぐ声、のこぎりの音まき割る音など、すべてがいかにもまた、まのろくおぼろかな色をおんで聞こえる。

ゆったりとおちついたうちにも、村内戸々のけはいは、おのがじしものせわしきありさまに見える。あす二十二日がこの村の鎮守祭礼の日で、今夕はその宵祭りであるからであろう。

源四郎の家では、屋敷の掃除もあらかたかたづいたらしい。長屋門のまえにある、せんだんの木に二、三羽のシギが実を食いこぼしつつ、しきりにキイキイと鳴く。その声はもの考えする人の神経をなやましそうな声であった。ほうきめのついてる根元の砂地に、やや黄ばんだせんだんの実が散り乱してある。どういうものかこの光景は見る人にあわれな思いをおこさせた。