Japanische Klassiker mit Furigana
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つげびと
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (つげびと) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.955 Zeichen · 71 Bildschirme
四
主人はきっと花前を見おろした。果然、花前にはなにか信念があるなと思った。それでさらにおだやかに、
「そうだとも、それでおまえの精神はわかった、それで、おれがおまえの保証人になるから、おまえ安心してやってくれ、まだ昼乳までにはすこし休むまがあるから休んでくれ」
こういわれて花前は、それに答うることばなく立った。花前は保証人になる人がないのではないらしい。自分のようなものは、いよいよ働けなくなれば、個人が世話するよりは国家が世話すべきだと思ってるらしい。それならば考えのすじはたっていると主人は思った。主人はうしろ姿を見送って、この変人いよいよおもしろいなと思った。
四
それから五、六日たった。花前の働きぶりはほとんど水車の回転とちがわない。時間の順序といい、仕事の進行といい、いかにも機械的である。余分なことはすこしもしないかわりに、なすべきことはちょっとのゆるみもない。細君はやや安心して、結局よい乳しぼりだと思った。
ところが花前の評判は、若衆のほうからも台所のほうからもさかんにおこった。花前は、いままでに一度もふたりの朋輩と口をきかない。自分は一分もちがわず時間どおりにおきるが、けっして朋輩をおこさない。