Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つげびと

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (つげびと) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.955 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

四

ここをやめたからとて、妻子をやしなってゆくくらいにこまりもせまいが、しかたがない、どうなるものか益のない考えはよそう。

考えにつかれた糟谷は、われしらずああ、ああと嘆声をもらした。下女がおきるなと思ってから、糟谷はわずかに眠った。

四

翌朝はようやく出勤時間にまにあうばかりにおきた。よほど顔色がわるかったか、

「どうかなさいましたか」

と細君がとがめる。糟谷はうんにゃといったまま井戸端へでた。食事もいそいで出勤のしたくにかかると、ふたりの子どもは右から左から父にまつわる。

「おとうさん、おとうさん」

「とんちゃん、とんちゃん」

糟谷はきょうにかぎって、それがうるさくてたまらないけれど、子煩悩な自分が、毎朝かならず出勤のまえに、こうして子どもを寵愛してきたのであるから、無心な子どもは例のごとく父にかわいがられようとするのを、どうもしかりとばすこともできない。

「きょうは遅いからいそぐだ」

とすこしむずかしい顔をしても子どもは聞き入れそうもしない。糟谷はますますむしゃくしゃして、手をだす気にもならない。

「ねいあなたちょっと抱いてやってくださいな、ほんのすこし、ねいあなたちょっと」