Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つげびと

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (つげびと) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.955 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

老人は松女をすかして引き寄せながら、

「政やおまえの胸をおれはよく知っている。おまえの腹立ちにすこしも無理はないのだから、おまえの胸はおれがよく知ってるから、となりの家へでもいってな、となりのおかあさんにおまえの胸をよく聞いてもらえよ。そうすりゃ気もおちついてくるだろう。なにもかもすんでしまったことじゃないか。おまえがこれまで、ようく堪忍していてくれたことはおれがちゃんと知ってるのだから、なあ政……えいかわかったろう。源四郎、おまえ、となりへつれていって頼んでくれ」

老人は、なにごとものみこんでいるから、お政の心中を察し、涙を浮かべてむすめをさとすのである。

源四郎はわが妻ながら、お政の悲嘆をどうすることもできなかった。

「おとうさんもああいうのだから、黙ってくれ。おまえの心はおれだって知ってるよ。さあ、おとうさんがいうのだから、となりの家へすこしいっておれよ。おれがいっしょにいくから、えい、お政……」

お政は源四郎のことばには答えもせず、わずかに頭を起こし、

「おとうさん、もう心配しないでください。となりへいかんでもようございます。わたし、しばらく休ませてもらえばようございます」