Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

Lesen Sie 雑居家族 (ざっきょかぞく) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.106 Zeichen · 283 Bildschirme

Aozora Bunko

八千円をわが手ににぎるまでに、二時間近い時が流れた。はじめは、つんとしている音枝に気をおいて、あきらめて帰ろうか、それとも泊りこんで文吉にでも談じてみようかと迷ったのだが、気前のよい夏樹にせき立てられて、ままよとふたりで近くの郵便局へいったのだった。出来るものなら早く金をつかんで、安江や文吉とは顔をあわしたくないのが彼の本心でもあったからだ。しかし、そうは調子よく運ばなかった。郵便局の貯金係は払戻し用紙に代筆した兵六さんをうさんくさそうにちらっちらっとみながら、顔見知りの夏樹に、

「夏樹ちゃん、これね、おねえちゃんでないと、お金あげられないのよ。おねえちゃんにきてもらってね。」

窓口にいた兵六さんは憤然として、

「本人がここにいるんだよ。どうして本人に払えないのかね。わしは伯父なんだがね。」

「でも、それでしたらあなたの印がいりますわ。委任してもらってください。」

表情一つ動かさずにいう。

「だってきみ、本人はここにいるんだぜ。本人が子供だから、代筆したんだからね。」

しかし女局員は無言でつっぱね、

「お次の方!」

仕方なくふたりは引かえして音枝に代ってもらった。