Japanische Klassiker mit Furigana
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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Lesen Sie 雑居家族 (ざっきょかぞく) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.106 Zeichen · 283 Bildschirme
いやだという音枝をおがみたおして夏樹とふたりで神妙に待っていると、ご不浄に立った安江が茶の間をのぞいた。
「あ、いらっしゃい。どうしました顔。」
「いや、ころんでね。なに大したこたあありませんよ。大したこたあね。」
「そう。じゃあわたし、きょうは失礼します。」
あっさりひっこんでくれてほっとした。彼は小声で夏樹にいったのである。
「おかあちゃんに、だまってておくれよな。すぐかえすからな。夏樹ちゃんにいいものお礼にもってくるからな。」
「大丈夫だよ。いってもおこらないよ。」
しかしもどってきた音枝は一そうおこっていた。八千円を夏樹にわたすと、ぷいと台所に立ってもどってこない。その大金をみると、さすがの夏樹も少々こわくなったらしく、しばらく見つめていた。それをやっと促してうけると、早々にいとまをつげた兵六さんだった。
「いいんだもん、ぼくの貯金だもん。」
おこってものいわぬ音枝にもつれつきながら、夏樹はしきりにいいわけがましく、我をはっていた。そんなことは分らぬ兵六さんだが、しかし彼とてもやっぱり釈然としない。
そこで、駅の階段を上る今日の彼の足は、怪我自体よりももっと重いのである。