Japanische Klassiker mit Furigana
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うんなんしゅびへい
雲南守備兵
木村 荘十
Lesen Sie 雲南守備兵 (うんなんしゅびへい) von 木村 荘十 (きむらそうじゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.859 Zeichen · 76 Bildschirme
「お母さんが見たら喜ぶね」
「うん」
「あの奪られた着物をきせてくれた時だって、泣いて喜んでいたんだものね」
「……むむ……」
春生は、兄の重い返事に、突然、顔を曇らせて、腕を組むように自分の両袖をしっかりおさえながら、
「でも、兄さんが隊へ帰ってしまったら、あたいはまたこれを奪られてしまう」
荒凉とした鉱山区が、遠く見える丘の斜面に、杏黄色の緞子の長掛子を着て、横たわっている春生の姿は痛ましかった。
壊れた上半面……緑色になった、か細い頸、手足、異常に腫れている節々……着物の色が美しければ美しいほど、それは死骸が晴着をきているとしか思えない。
それを凝っと見ている孫軍曹の眼には、もう涙の影もなかった。
彼の瞳は、まるで斥候に出された兵のように、冷たい光を湛えて周囲を見廻し、癖のある例の肩をひいて油断のない身構えをしている。
「兄さん、兄さんは何処にいるの」
春生は、死のような静寂の中で、暗黒の恐怖に戦慄し、手さぐりで兄を求めると、その胸に頭を倚りかけた。
「兄さん、兄さんは、もう隊へ帰らなければいけないんだろう」
「春生、心配しなくてもいい、俺はもう隊へは帰らないんだ」