Japanische Klassiker mit Furigana
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きりのばんしゃ
霧の蕃社
中村 地平
Lesen Sie 霧の蕃社 (きりのばんしゃ) von 中村 地平 (なかむらちへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.389 Zeichen · 57 Bildschirme
「日本人は霧社にばかりいるのではない。俺たちがよし霧社で勝ったとしても、あとからあとから霧のように、日本人は俺たちを攻めてくるばかりだ。反抗しても、所詮は敗北の憂目を見るにきまっている」
モーナルーダオはそれを聞くと答えた。
「それと同じことは昨日花岡一郎に聞いた。しかし、俺たちは粟も十分に貯えている。また銃器や弾薬もたっぷり手に入れる目算がついている。内地の人の数がどんなに多いか知らないが、俺たちが最後の粟の一粒まで、また最後の弾の一発まで、抵抗をつづけさえすれば、勝利はきっと俺たちを見舞うにちがいない」
タダオノウカンが黙って返事をしないのに気がつくと、モーナルーダオは背後の若者たちには聞えないように、一段と言葉を低めて言った。
「それはお前が言うように、あるいは俺たちに勝味がないかもわからない。しかし、それならばどうすればいいのだ。この計画をやめて、また、あのじめじめした、どうにもならない気もちで不愉快な毎日を送るのか。若い者たちは、なにか、思いきったことをやらなければ収らない気もちになっている。勝敗は問題じゃないのだ。その気もちをおさえつけても、その鬱屈した気もちはいつかもっと悪い別な形で現れるにきまっている」