Japanische Klassiker mit Furigana
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きりのばんしゃ
霧の蕃社
中村 地平
Lesen Sie 霧の蕃社 (きりのばんしゃ) von 中村 地平 (なかむらちへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.389 Zeichen · 57 Bildschirme
七
討伐隊の被害総数も少くなかったが、しかし、既に敵蕃の死傷は百五十名に達していた。しかも、山林が美しい紅葉の色に彩られた頃には、弾薬、食料も次第に欠乏してきた。戦争の継続は次第に困難になってくるのである。
いったいマヘボというのは祖先の地という意味である。兇蕃たちはその地を去り難く思い、始めはマヘボ、タロワンの両渓谷を死守するつもりであった。しかし、戦争の困難が増大したために、彼らも遂いに退いて、更らに奥地に拠らなければならないことを悟った。間もなく、万大渓谷を彼等は最後の地に選ぶことを決意した。しかし、背後より迫ってきた部隊に退路を要撃されることによって、その逃亡は絶望となった。既に十二月に入って旬日が過ぎていたのである。
七
始めこの予期しない事件が起きた時、内地人側はその原因の真相を把握することに苦しんだ。また、その恐るべき兇行がどんな組織をもって行われたかを理解することもできなかった。その程度に、事件は異常であり、唐突であった。
事件に関するあらゆる点に於て、さまざまな揣摩・臆測が横行したが、事件の元兇についても同断であった。始め人々は兇蕃の首領は花岡一郎であるにちがいない、と考えた。