Japanische Klassiker mit Furigana
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せいねん
青年
Lesen Sie 青年 (せいねん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.670 Zeichen · 246 Bildschirme
この男は最初から柱に倚り掛かって、黙って人の話を聞きながら、折々純一の顔を見ていたのである。大学の制服の、襟にMの字の附いたのを着た、体格の立派な男である。
一寸調子の変った返事なので、畳よりは純一の方が驚いて顔を見ていると、「君も画家ですか」と云った。「いえ。そうではありません。まだ田舎から出たばかりで、なんにも遣っていないのです」
純一はこう云って、名刺を学生にわたした。学生は、「名刺があったかしらん」とつぶやきながら隠しを探って、小さい名刺を出して純一にくれた。大村荘之助としてある。大村はこう云った。
「僕は医者になるのだが、文学好だもんだから、折々出掛けて来ますよ。君は外国語は何を遣っています」
「フランスを少しばかり習いました」
「何を読んでいます」
「フロオベル、モオパッサン、それから、ブウルジェエ、ベルジックのマアテルリンクなんぞを些ばかり読みました」
「らくに読めますか」
「ええ。マアテルリンクなんぞは、脚本は分りますが、論文はむつかしくて困ります」
「どうむつかしいのです」
「なんだか要点が掴まえにくいようで」
「そうでしょう」
大村の顔を、微かな微笑が掠めて過ぎた。