Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.406 Zeichen · 27 Bildschirme
金三郎という八つになる伜があり、万和のほうには、いまあなたがおっしゃったお梅という娘があって、当時これが四つ。万屋のほうも山崎屋のほうもおなじく木曽から出てきて、もとをたずねると遠い血つづき。これまでも親類同様、互いに力になりあってやって来たのだから、いっそお梅さんを金三郎の嫁に、というと、それはなによりの思いつきというわけで、襁褓のうちから二人を許婚にし、山崎屋から万和へ約束のしるしに鳳凰を彫った金無垢の簪をやって、二人の婚礼の日を楽しみにしていたンです」
「なるほど」
「それから二年たって木曽に大きな山火事があり、山崎屋の山が五日五晩燃えつづけてそっくり灰になり問屋の仕分けも出来かねるようになったので、店をしめて長崎へ行って唐木の貿易でもし、もう一度もとの身代にしようというので金三郎をつれて長崎へ行ってしまった。その翌年の春、そっと唐へ渡るというざっとした手紙が来たきり、それから十二年ただ一度も便りがない。……お梅のほうは顔もよく覚えていない金三郎を恋い慕い、佐土原人形に着物をきせて三度々々影膳をすえ、あなた、あなたと生きた金三郎がそこにいるように懇に話しかける。