Japanische Klassiker mit Furigana
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かぜにのってくるコロポックル
風に乗って来るコロポックル
宮本 百合子
Lesen Sie 風に乗って来るコロポックル (かぜにのってくるコロポックル) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.458 Zeichen · 39 Bildschirme
「やめるべし、な豊」
と云った。
肱枕(ひじまくら)で寝転びながら、プカプカ煙草を烟(ふか)していた豊は、思わず吐きかけの煙を止めて父親の顔を見たほど、それほどイレンカトムの声は哀っぽかった。まるで半分泣いているような調子である。これには、さすがの豊もちょっと、哀を催したような眼付きをしたが、一つ身動きをすると、もうすっかりそんな陰気な心持を振り落して、前よりも一層陽気な、我儘な言調で、
「俺ら、止めねえよ。もうきめたむん!」
と云い放した。
「東京さ行って、何仕(あにし)るだ?」
「商売(しょうべえ)よ」
「商売(しょうべえ)だて、数多あるむん、何仕(あにし)るだ?」
「俺ら、知らねえよ。出来るものう仕(し)るだろうさ! 何(あに)しろ俺あ行ぐときめただから」
「……」
「……」
「俺あ、金あねえ」
「無えっことあるもんで、お父(と)。僅(ちっ)とばっかし大豆なんか生(お)やしとくよら、この周囲(ぐるわ)の畑売(う)っ払(ぱら)ったら、好(え)えでねえけえ、
無えなんてこと、あるもんで!」
豊は、炉の中に自暴(やけ)のように唾をはいた。
「売っ払うだてお父(と)のこったむん、また、父親(ミチ)にすまねすまねで、オ、アラ、エホッ、コバン、だから(心底(しんそこ)から売りたくない)俺あ売ってくれべえ。