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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖 (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.957 Zeichen · 114 Bildschirme

Aozora Bunko

「はて? ……」と、その方策に腕をこまぬいた時、かれは、岩の間から拾ってきた、竹屋三位の懐紙入れを思いうかべて、中を開いてみる気になった。

別にこれぞという物もなかったが、その懐紙挟みの中に、一帖の絵図がしのばせてあった。

小形な法帖みたいに折り畳んであるので、サラリと押し開いてみると、竹屋卿がわらじがけで実地を写したものらしく、徳島城の要害から、撫養、土佐泊、鳴門のあたりを雑に書きかけてある海図だった。

だが、世阿弥の目には、それが書き半端な海図とのみ単純には看過されなかったとみえて、

「お、これは、軍船の配りや布陣の線を引いたものじゃ。や、鏡島の袋潟――鳴門の裏海には、いつのまにか、こんなにも多数の軍船がひそめてあったか」

と、図面の角点を数えて目をみはった。

「よいものが手に入った。これも、一つの証拠にはなる。しかも、公卿方の者が自写したのは、何より有力な証拠品である。ウム、そうだ、これへ自分が隠密して探り得た箇条を書き加えて……」

ひとりうなずいた甲賀世阿弥は、ふすまに使っている鹿の毛皮をとりだし、また、瘤山の窪みへ下りて、手ごろな篠を切ってきた。