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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖 (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.957 Zeichen · 114 Bildschirme

Aozora Bunko

*     *     *

煙草船や藍玉船が、白い帆を張って、ゆるゆると吉野川を辷ってゆく。

その底には、もう若鮎がチラチラ光っているだろう。南国らしい黄花の畑、変化に富んだ両岸の風景もかくべつだが、何よりはその大河の、砂と水のきれいなことといったらない。

きれいなといえば、水も水だが、アレをごらん、あのかんこ船に乗って、こッちへ上ってくる御新造様は、いずれ御城下のお方だろうが、なんというお美しいことだろう――と、藍取歌を唄っていた陸の娘が見とれていた。なるほど、この山水の紅一点。今――西麻植の岸へ船をつけて、スラリと、そこへ下りた美人がある。

阿波にはたくさんに美人がいるが、あの豊麗な、肉感的な、南国色の娘たちとは、これはまた、クッキリと趣をかえた美人。

太夫鹿の子の腰帯に、裾を上げて花結びにタラリと垂れ、柳に衣裳をかけたようななよやかさは、東風にもたえまいと思われるほど、細ッそりとした形である。

「宅助や……」と、うしろを向いて、

「うっとうしいから、お前、これを持っていておくれでないか」

紅緒の菅笠を下郎に渡すと、うけたお供の仲間は、それを自分の笠に重ねて、