Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖 (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.957 Zeichen · 114 Bildschirme
ぶ、武士らしくもないッ」
「お千絵といい、墨屋敷の財宝も、今ではみんな幻滅となってしまった。その揚句に命がけで、万吉や弦之丞を狙ったところで、何の埋合せにもなりはしない。拙者はもうここでお別れいたすよ。江戸へ帰って寝ていた方がはるかましだ」
「その無念を晴らすがいいではないか。その怨みを!」
「でも――親の仇ではないからなあ」
周馬が歪んだもの言いぶりに、一角はムッとなって、
「だれが親の仇だといった?」
煙管を片手にもって立ち上がった。
相手が、胸板へ迫ってきた血相に、周馬は少し言いすぎたことを後悔したが、行きがかりとなった唇は心と反対に動いて、
「うわッ面なあげ足をとるな! それまで深い遺恨はもてぬといったまでの分ではないか」
「ばかなッ」と、一角はそれを睨み返した。
「では、なぜ、江戸を立つ前にそういわぬか。ここまで来た旅先で、面白くもないケチをつける奴だ」
「ケチはつけんよ、ただ旅川周馬一個人の立場について言明しているのだ」
「臆病風にさそわれてきたのだろう。江戸表にいるうちは、貴様も吾々と合体して、どこまでも、法月弦之丞を討つと誓い、また、万吉も生かしてはおけぬと罵っていたではないか」