Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
お兄様は早く大学を卒業なすったのですが、まだ若いから何か今一科勉強したいとお思いになっても、経済上の都合もあってそうもならず、陸軍へ出たらと勧める人もありますが、同級生が貸費生としてはや幾人か出ているのに、階級のやかましい処へ今更どうかともお思いになるので、お気の毒にも思案に余っていらしったのでした。ここに書いたのはその頃の或半日の事でした。
赤インキ
森の家が向島小梅村に住んでいたのは、明治十二、三年頃ですから、兄は十七、八、私は十ほど年下で七つ八つ位でしょう。その頃兄は頻に水墨画に親しんでいられました。私の学校通いに被ったあじろ笠に、何か画かれたのもその頃でしょう。どうも先生に就かれたようには思われませんから、何かお手本を見て習われたのだと察します。お画きになるのは休日の静かな午前などで、その絵は重に四君子などでした。とりわけ蘭が多く、紙一ぱいに蘭の葉の画いてあるのもありました。種々な絵の中に、牧童が牛の背に乗って、笛を吹いている顔が可愛らしいので、何枚も画いてもらい、「もっと可愛くして頂戴」といって笑われた事もありました。
程近い旧藩主の邸内に、藩の人たちが御末家と呼ぶお家がありました。