Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たそがれ

黄昏

宮本 百合子

Lesen Sie 黄昏 (たそがれ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.500 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

おくめは、

「到底、今夜は相田さんにお目にかかって行かれそうもないね」

と、云った。

「あんまり更けないうちに帰らなければなるまいが――お前から、どうぞよろしく云っておくれ、のぶのことも、お世話をかけて真個に相すまないが、もう少しの間だから……」

やや改って、自分のことが云われると、のぶ子は、母親の傍から、ちらりと姉を偸見(ぬすみみ)ながら、頭を垂れた。

「ええええ、そんなことは一向かまいませんけれどもね。――実はのぶが、あまりずぼらなんでね。今月だって、新らしい本を買うとか寄附だとかいって余分のお金がいったのに、無くたっていい羽織なんか拵える気になるんだから」

予期したことながら、おくめは、何と弁解しようもなかった。

「こうやって相当に店なんかやっていれば、高が二十円や三十円の金と思うだろうが、決して、どこにも遊んでいる金はないんですよ」

ふさ子は、次第に、胸の衷(うち)の述懐を洩すような口調になった。

「相田だって、お役所の方がいつどうなるまいものでもなし、いざという時の要心に無理をして店を仕込んで置くようなものだもの……のぶちゃんだって、子供ではなし、ちっとは、自分の身の上も考えればいい」