Japanische Klassiker mit Furigana
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たそがれ
黄昏
宮本 百合子
Lesen Sie 黄昏 (たそがれ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.500 Zeichen · 29 Bildschirme
けれども、何にしろ相手は商売人にかかっているので、予想通り事件が進捗しないうちに、何より代え難い、息子にまで死別した。
皆で※(むし)り取ってしまえば、分け前といってもさほど無い位の財産のために、おくめは、却って貧しければせずともよい心の苦闘を経て来た。それも、今では、徒に心の苦しみばかり彼女のために遺されたものといってよかった。僅か三十の時に良人を去り、十五年の間、おくめは、危うい手許に、やっと生き残った二人の娘を抱えて来たのである。
三
久し振りで出かけたのだから、おくめは、きっと泊って来るものと沢田の家では思っていた。
けれども、十一時過て、そろそろ寝に就こうかという時分、彼女は、不意と格子を開けて帰って来た。
「まあ、帰って来たの? 泊って来たってよかったのに」
主婦の前に、おくめは、先ずぽくりと頭を下げた。
「ただいま」
「どうだって?」
「有難うございます……」
不思議に言葉少いおくめを見、米子は、怪しむような表情を浮べたけれども、何か、彼女を寡黙にさせた原因が麹町であったのだと察したらしく、米子は、それとなく、おくめの前から立ち上った。