Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
と、波が横から潰されて、ほとんど腋下に及ぶほどの高さになってしまう。と同時に、いわゆるイエンドラシック反射が起って、その部分に加えられた衝撃が、上膊筋に伝導して反射運動を起すのですから、当然博士は、無意識裡に両腕を水平に上げる。その両脇から博士を後様に抱えて、右手に持った護符刀を心臓の上に軽く突き立て、すぐにその手を離してしまう。と、博士は思わず反射的に短剣を握ろうとするので、間髪の間に二つの手が入れ代って、今度は博士が束を握ってしまう。そして、その瞬後扉に衝突して、自分が束を握った刃が心臓を貫く。つまり、高齢で歩行の遅い博士に、敷物に波を作りながら音響を立てずして追い付ける速力と、その機械的な圧進力――。それから、束を握らせるために、両腕を自由にしておかねばならないので、何よりまず膝膕窩を刺戟して、イエンドラシック反射を起さねばならない――。そういうすべての要素を具備しているのが、この手働四輪車でして、その犯行は寸秒の間に、声を立てる間がなかったほど恐ろしい速度で行われたのでした。ですから、貴方の不具な部分をもってせずには、誰一人博士に、自殺の証跡を残して、息の根を止めることは不可能だったのですよ」