Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
その上にトンと指頭を落して、法水は云い続けた。「こうなれば、一見してすでに明白です。勿論水分さえ吸えば、竜舌蘭の繊維は、全長の八倍も縮むと云われるのですからね。当然殯室の前室に、湯滝を必要とした理由は云うまでもないでしょう。ところで、犯人は最初、その繊維を本開閉器の柄にからげ、収縮を利用して電流を切ったのです。そして、柄が下向きになると、そこからスッポリと抜けて、水流の中に落ちたのですから、当然排水孔から流れ出してしまう訳でしょう。それから、次は云うまでもなく、拇指痕の形を、竜舌蘭の繊維で作った襟布に利用して、レヴェズの咽喉を絞めていったのでした。つまり、レヴェズの死は他殺ではなく、自殺なんですよ。それで、だいたいの経路を想像してみますと、最初レヴェズが奥の屍室に入ったところを見届けて、犯人は湯滝を作ったのでした。ですから、徐々に湿度が高まって、竜舌蘭が収縮を始めたので、レヴェズはしだいに息苦しくなってゆきました。そこへ何か、あの男に自殺を必要とするような、異常な原因が起ったのです。したがって、当然レヴェズの死には、二つの意志が働いているという訳で、算哲に似せた拇指痕の上に、あの男の悲痛な心理が重なっていったのでしたよ」