Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あなたもわたしも
あなたも私も
久生 十蘭
Lesen Sie あなたも私も (あなたもわたしも) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.405 Zeichen · 263 Bildschirme
中村は、うごかぬ眼差しでサト子の顔を見てから、ああ、と不得要領にうなずいた。
「いま、秋川さんと、あなたの話をしていたところだったんだ」
「あら、どんな話?」
「それは、まあ、いろいろ……急ぐから、きょうは、これで失礼……このところ、警視庁の防犯課というところにいますから、用があったら電話をかけてください」
クロークでコートを受けとると、袖に手をとおしながら、そそくさと回転ドアを押して出て行った。
「きょうは、パパに逢いに来てくだすったのではなかったんですか」
「なにを言いだすつもり? 秋川さんがいらっしゃるなんてこと、あたしが知っているわけはないでしょう」
「それもそうですね。ぼくは、なにを考えていたんだろう」
サト子は、ラウンジの隅へ愛一郎をひっぱって行って、長椅子のうえにおしつけた。
「きょう、暁子さん、たずねていらしたわ」
「あなたのところへ? どうして?」
「どうしてって、用があったからよ。これを、あなたに渡してくれとおっしゃって……」
サト子は、ビニールのネッカチーフに包んだ預りものを、愛一郎の手のなかにおしこんだ。
「これはなんでしょう」
「手紙らしいわ……ながいあいだ書きためた、うらみつらみの恋文、てなもんでしょう」