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Japanische Klassiker mit Furigana

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いなか、の、じけん

いなか、の、じけん

夢野 久作

Lesen Sie いなか、の、じけん von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.535 Zeichen · 78 Bildschirme

Aozora Bunko

「馬鹿云えコン畜生」「シッシッ」

というようなボソボソ話が、又も浴場のまわりで起った。しかし親爺は耳が遠いので気がつかないらしく、黙って曲った右足を湯の中に突込んだ。お八重もそのあとから真似をするように右足をあげて這入りかけたが、フイと思い出したようにその足を引っこめると、流し湯へ跼んでシャーシャーと小便を初めた。

元五郎親爺はその姿を、霞んだ眼で見下したまま、妙な顔をしていたが、やがてノッソリと湯から出て来て、小便を仕舞ったばかりの娘の首すじを掴むと、その膨れた腹をグッと押えつけた。

「これは何じゃえ」

「あたしの腹じゃがな」

と娘は顔を上げてニコニコと笑った。クスクスという笑い声が又、そこここから起った。

「それはわかっとる……けんどナ……この膨れとるのは何じゃエ……これは……」

「知らんがな……あたしは……」

「知らんちうことがあるものか……いつから膨れたのじゃエこの腹はコンゲニ……今夜初めて気が付いたが……」

と親爺は物凄い顔をしてラムプをふりかえった。

「知らんがナ……」

「知らんちうて……お前だれかと寝やせんかな。おれが用達しに行っとる留守の間に……エエコレ……」