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Japanische Klassiker mit Furigana

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いなか、の、じけん

いなか、の、じけん

夢野 久作

Lesen Sie いなか、の、じけん von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.535 Zeichen · 78 Bildschirme

Aozora Bunko

小さい方の児もテングサの雫を引きずり引きずりあとから跟いて出て行った。笑いころげる夫婦の声をあとに残して……。

大きい方の児は、すぐに網干場に駈け込んで、そこに突立っている赤褌の、桃の刺青をした男に縋り付いた。そうして一層泣き声を高めながら別荘の方を指して、切れ切れに訴えはじめた。

桃の刺青はウンウンうなずきながら聞いていたが、そのうちに二三度鉢巻を締め直した。青筋を立てて怒鳴った。

「……エエわからん……まっとハッキリ云え……ナニイ……あの別荘の奴等がか……ウンウン……あの赤い鳥にバカタレと云わせたんか……ウンウン……それに違いないナ」

横に立っていた小さい児も、指を啣えたまま、大きい児と一緒にうなずいた。

「……ヨシッ……わかった……泣くな泣くな……畜生めら……そんな了簡で、あの赤い鳥を連れて来腐ったんだナ……ヨシッ……二人とも一緒に来い……」

と云うより早く網を押しわけて別荘の方へ駈け出した。

しかし裏口から赤煉瓦の中へ這入ってみると、別荘の中はガランとしていて、人の気はいもなかった。ただ表の植込みから蝉の声が降るように聞こえて来るばかりなので、桃の刺青はチョッと張り合いが抜けた体であったが、そのうちに小松の蔭に吊してある、青塗りに金縁の籠を見付けると、又急に元気附いた。