Japanische Klassiker mit Furigana
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おもかげ
おもかげ
山本 周五郎
Lesen Sie おもかげ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.242 Zeichen · 21 Bildschirme
五
けれどおまえがふびんさに、母の亡いおまえを育てるために、自分からその仕合せをお捨てなすってしまった、一生の仕合せを捨てて、おまえをりっぱに育てあげようとなすったのだ」
「父上さまもう仰しゃらないで下さい、よくわかりました、悪うございました」
正之助は腕で顔を押えながら泣きだした。
「本当にわかったのか、厳しくされるおまえよりも、厳しくなすった叔母さまのほうが、どんなに辛かったかということがわかるか」
「わかります、正之助は考えが足りませんでした、叔母さまに申しわけがないと存じます」
「わかればそれでよい」
父はしずかに頷いて、それから少しは慰めるような調子で仰しゃった。
「ではお祖父さまの一周忌が来るから、おまえは父の代りに鳥取へお帰り、そして法事がすんだら、叔母さまを江戸へおともないして来るがよい」
五
花の旅とでも云おうか、二人の供をつれて江戸を立ってから、ゆく道の野に里に、梅が散り、桃が笑っていた。するがの国には桜が咲きそめ、野にはげんげが花筵を敷いていた。正之助はゆくゆく、
今日もまた花にくらしつ春雨の露のやどりをわれにかさなむ
逢坂のせきの関屋のいたびさしまばらなればや花のもるらむ