Japanische Klassiker mit Furigana
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おみつかんざし
お美津簪
山本 周五郎
Lesen Sie お美津簪 (おみつかんざし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.158 Zeichen · 26 Bildschirme
「そいつあ懐しい私も長崎だ」
「親方もか?」
正吉は眼を輝かして、
「それあ奇縁だあ、おらあ一ノ瀬の下だが、親方あどこだ」
「――そんな事を訊く必要は無かろう」
亭主の顔つきが不意に変って、野獣のような惨忍な表情が現われた。――正吉は眼を外らしながら黙った。
「呑んでくれ、これあ私の奢りだ」
別に一本、上酒の燗をして亭主が持ってきた。――そして語調を柔げて、
「どうも言葉尻に訛りがあると思ったんだ、何十年離れていても、故郷訛りは争えねえものだ、なあ若い衆。――だが」
「――――」
「おめえも見たところ堅気じゃあ無さそうだ。つまらねえ詮議は止めにして、気持よく呑んだら行って貰おうぜ」
「下らねえ事を訊いて悪かった」
正吉は素直に云った、「――同じ所と聞いたんでつい舌が滑ったんだ、気を悪くしねえでくれ」
「分りあいいのよ」
「御馳走になるぜ」
正吉は亭主の酒をあっさり呑んだ。――そして手早く勘定を済ませると、
「縁があったら又会おう」
と外へ出た。
居酒屋の亭主が長崎と聞いて、正吉は更に更に帰心を唆られたのである、そして、さっき鼬の辰次郎が来て話した「拵え博奕」の事を思いだしたのだった。