Japanische Klassiker mit Furigana
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おみつかんざし
お美津簪
山本 周五郎
Lesen Sie お美津簪 (おみつかんざし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.158 Zeichen · 26 Bildschirme
――それは恐ろしい考えだった。正吉はぶるっと身顫いをして、……いけねえ、駄目だ! と自分を叱りつけた。だが他にどうする。
「船は明日の朝七時に出るんだ」
正吉はじっと四辺を見廻した。金に飽かした小庭の結構、木の香も新しい寮造りの二階建てだ。然も――幸か不幸か、まるでここから入れといわんばかりに、縁側の戸が一枚明いたままになっている。
正吉は半ば夢中で、ふらふらとそこから中へ忍び込んだ。
――到頭やった。どんなに落魄れても、盗人だけはしずに来たが、今夜という今夜あどたん場だ。ええ! どうなるものか。
度胸を定めた正吉は、ふところの短刀を抜いて、縁側から座敷の方へ進んで行った。家内は森閑として音もない、さすがに胸が裂けるかとばかり騒いで、膝頭はがくがくと震える。まだ新しい建物なので、どんなに足音を忍ばせても軋みが立った。
――くそっ、みつかったら短刀でひと威しやる迄だ。
自分を唆しかけながら、主人の居間と思われる部屋の表へ来ると、廊下へ跼んで静かに障子を引き明けた。――そして一歩中へ入った、その刹那! 正吉はいきなり闇の中から向う脛をがっと払われて、
「あっ、つー※(感嘆符二つ、1-8-75)」