Japanische Klassiker mit Furigana
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『このこころのほこり』
『この心の誇り』
宮本 百合子
Lesen Sie 『この心の誇り』 (『このこころのほこり』) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.535 Zeichen · 17 Bildschirme
スーザンは、家の附近の粗末なアパートの一室を仕事部屋として借りた。そして再び仕事にとりかかった。
ブレークの仕事の態度、傾向、それはすっかりスーザンとはちがう。スーザンが、大理石にむかってニューヨークの街に溢れる群集の中からニグロの女をとらえて彫り、北国の老婆をとらえて彫って、尨大な独特なものをつくってゆくとき、ブレークは、軽い土の塑像を、才走って、奇矯にこしらえてゆく。
スーザンが仕事に規則正しく熱中しているうちに、ブレークはロシアの舞踊家ソーニャとの恋の遊戯におちいった。それを一年の間知らなかったのはスーザンばかりであった。しかもそれを知ったのは、彼女がブレークの見るソーニャとは異なったソーニャの彫像の最後の仕上げをしている時であった。彼女の手にあるのはソーニャの体である。どうしてそれの仕上げをつづけていられよう。
しかし、このことでは仕事を完成しようとする欲望の方がスーザンの苦悩よりつよく彼女を捉えた。
彼女の率直な追究に、曖昧な身のかわしかたをつづけるブレークにたいして彼女は今やはっきりと、仕事こそが自分を守るもの、自分の自由、自分のひろがりとして自覚されて来たのであった。