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Japanische Klassiker mit Furigana

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さまようまちのさまよういえのさまようひとびと

さまよう町のさまよう家のさまよう人々

国枝 史郎

Lesen Sie さまよう町のさまよう家のさまよう人々 (さまようまちのさまよういえのさまようひとびと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.916 Zeichen · 75 Bildschirme

Aozora Bunko

ドーム前端の階上に、奏楽室がありまして、そこでは音楽を奏していました。

「何うォ」

と黄蓮は云いました。

「妾の処へいらっしゃいましな」

「うん」

と私は応じました。

「ひとつ款待にあずかろうかね」

「妾で勿論いいんでしょうね」

「いいとも、結構、君が好きだもの」

「でも他にも美しい人が、随分いると思わなくって」

「居りますね、ふんだんにいる」

「どの人だろうと大丈夫なのよ。……でも約束の出来ている人はねえ」

「いや君で充分だよ」

私はこう云って日本人好みの、細面できゃしゃな黄蓮の顔を、好意を以って眺めました。

「しかしもう少し見て廻り度いから」

「ではその後でいらっしゃいな。……妾の所、知っていらっしゃるわね」

「後で行こう。知っているとも」

二人は食堂から外へ出て、辻で左右へ別れました。

それから私は急の坂を、下の方へ下りて行きました。

何も下の方に私の興味をそそる、特別のものがあると思って、下りて行ったのではありませんでしたが。

下の町も上の町とよく似ていて、細い往来は清潔であり、往来の左右の家々は、いずれも同じような形であり、そうしていずれもこぢんまりとしていました。