Japanische Klassiker mit Furigana
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しじみがし
しじみ河岸
山本 周五郎
Lesen Sie しじみ河岸 (しじみがし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.438 Zeichen · 51 Bildschirme
というするどい女の声がした。低い傾いた家の軒下に、長屋のかみさんらしい女が(みな赤子を抱くか背負うかして)三人立っていた。
「返しな、伝次」と女の一人が叫んだ、「乞食じゃあるめえし、見ず知らずの他人から銭を貰うやつがあるか、返しな」
「みんなこっちい来う」とべつの女が叫んだ、「こっちい来て遊べ、みんな、倉造」
「返さねえか伝次」まえの女が喚いた、「返さねえとうぬ、手びしょうぶっ挫いてくれるぞ」
「そう怒らないでくれ」
律之助は女たちのほうへ近よっていった。
「いま道を教えてもらった礼にやったんだ」彼は穏やかに云った、「ほんの文銭が四五枚なんだから、――可愛い子だな」彼は女の抱いている赤子を覗いた、「丈夫そうによく肥えているじゃないか、もう誕生くらいかな」
女は「へえ」といった。それからまた「伝次」と棘のある声で喚いた。
「なに云ってやんだ、べえーだ」その子は向うで舌を出した、「これはおらが道を教えておらが貰った銭だ、返すもんか」
「うぬ、この畜生ぬかしたな」
「おっかあのくそばばあ」その子は云った、「おらこれで芋買って食うだ、勘兵衛の芋買って一人で食うだ、へーん」