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Japanische Klassiker mit Furigana

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しじみがし

しじみ河岸

山本 周五郎

Lesen Sie しじみ河岸 (しじみがし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.438 Zeichen · 51 Bildschirme

Aozora Bunko

七

頑なに沈黙を守るというよりは、彼の云うことなどまるで聞いてもいなかった、というふうにみえた。

「だめか、――」と彼は云った、「貧乏な者には、貧乏な者同志の人情がある筈だ、相長屋の一人は殺され、一人は無実の罪でお仕置になろうとしている、それを黙って見ているのか、黙って指を咥えて見ているのか」

大勢の者と膝をつき合せて語れば、なかに一人くらいは義憤に駆られて口を割る者があるだろう。多人数の前だと、常にない勇気を出してみせる者がよくある。律之助はそれを覘ったのだが、やはり結果は徒労のようであった。

――なんという腰抜け共だ。

彼は怒りのために胸が悪くなった。しかしけんめいにそれを抑えて云った。

「此処で云えなければ、私が訪ねていったときそう云ってくれ、頼むよ」

そして差配の源兵衛に、日当を分配するように命じた。

七

律之助は寺から出ていった。

力のぬけた、だるいような気持で、冬木町のほうへ歩きだすと、寺の土塀に沿った横丁から、一人の若者がひょいと出て来て、こちらを見るなり立停り、それからすぐに、身を翻してうしろへ走り去った。

ほんの一瞬のことであったが、その若者の顔を律之助は見た。