Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
翌朝、小みどりは庭下駄を突っかけて、花壇へ花を折りに出ると、墻の近くになにか丸めた紙が落ちているのを見た。拾って皺を伸ばしてみると、詩が書いてあるではないか。
詩の持つ意味は、未だ姿は見ないけれど、唄の主である自分を恋していること久しい。と、いう風にとれる。
仙公狸の方ではまだ小みどりの姿を見たことはないが、小みどりの方では、仙公が朝夕庭先を逍遥しながら、本を読んでいるのを、障子のすき間から、しばしばかいま見たことがある。
自分が毎夜宴席で接待する呑ん兵衛共とは、人種が異うほど人品が高い。自分もやがては卑しき稼業をやめ、人間並みに天下晴れての結婚をしなければならぬのだが、婿に選ぶのなら隣に下宿しているような学生を得たい。
こんな風に、ときどき思案してきた矢先であったのだ。読み終わると、ひとりでに心臓が高く鳴るのを覚えてきた。
そこで、小みどりはこの機会を逸してはと考え、仙公の詩の韻をふみ、想いのたけを詩に表現した。そしてその日の夕方、これを白紙に書いて、仙公の室の廊下へ投げ上げたのである。
仙公が、それを拾って読んだのは、もちろんである。これはわが輩の想像以上に大した娘だ、これと結婚して、しかもわが輩の妖気を見破られなかったら儲けものである。