Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
「あったら、少し分けておくんなさい。なんでも結構です」
「面倒だな」
「そんなこといわないで、お慈悲ですから少し分けてくださいよ」
そこで百姓は、迷惑らしい仕草よろしくあって、のろのろと家の中へ入って行った。
都会のおかみさんは、にこにこした。
農家の親爺さんが、家の中の土間から持ち出したのは、一括りの野菜である。
「これだけ、やるべえよ」
おかみさんは、満悦である。
「すみませんね、お手数かけて――それでお代はいくら差しあげたら、よろしいのでしょう」
「なあに、これんばかりの品だから、いくらでもかまわねえよ」
「でもね、おっしゃってくださいよ」
「おれにや、値は分からねえだよ。まあいいから持ってくさ」
実際問題として『いくらでもかまわねえ』というのはまことに相手にしにくい。いくらいくらと言って貰えば、高かろうが安かろうが、その通り支払うのであるが、この返答には当惑する。まるで見当がつかない。しかも『いくらでもかまわねえよ』といった親爺さんの顔には、それとはまるで反対の表情が、ちらちらしているのだ。
寸時の間、沈黙が続いたがおかみさんは横を向いて蟇口のなかから十円紙幣一枚だして、