Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
鱒の身にとってみれば、まことに辛き目にあうわけだ。
さて、嘉平老の拾った蜂鱒は、九百六、七十匁ほどあって、まず一貫目近い大ものである。半死半生の失神状態となって、上新田の雷電河原のしも手へ流れついたのであるから、末だ全く死んでしまっているわけではない。鮮味、実に賞すべきものがあったであろう。
わが上州には、おいしい産物が数々ある。山の幸、野の幸、水の幸、とりどりである。私は利根川の鱒の味を、わが上州のおいしいもののうちのその司に推したい。
冷たい潮流に乗って北洋から太平洋岸に沿って下ってきた鱒は、三月中旬には銚子、香取、取手、権現堂、妻沼、本庄裏へと、次第に上流へ上流へと遡ってきた鱒は、既に三月中旬にはわが上新田の雷電神社地先の利根の激流に姿を現わすのである。
至味の季節は六、七、八、九の四ヵ月で四、五両月にはまだ脂肪が乗ってこぬので、その味は夏の頃に及ばない。また九月が過ぎて十月、十一月になると産卵期に入るので全身の脂肪が腹の生殖線に吸収されて、肉の味が甚だ劣ってくる。
ところで、夏から初秋へかけての四ヵ月間の鱒の鮮醤はこれを何にたとえようか。