Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
第一日は、来客合計六人、売りあげ一円九十銭、二日目は、来客三十人で売りあげが一躍十九円六十銭也。夜、寝る前に売りあげの勘定をして女房と顔見合わせて喜んだ。
ところが、三日目から次第に客が減じて行き、来客平均十人程度で、売りあげが五円に達した日は罕だ。一日毎に、心細くなった。しかし、米櫃の米は遠慮なく減って行く。その筈である。私ら夫妻に老父、子供が五人、子守りの老婢と給仕の婢で都合九人、来客の数よりも家族の数が多いのであるから、僅かな売りあげではあせらざるを得ぬ。
そこで、心配になるのは菰冠りの問題だ。来客多数あり、盛んに銚子が売れれば文句はないけれど、このままであっては、日毎に陽気が暖かになって行く候であったから、にせ正宗では火が入ってしまうであろう。腐らせるよりも、わが輩が呑んだ方に意味がある。こういう結論に達した。それから呑んだ呑んだ。朝から夜半まで。客に売ったのは僅かに一斗あまり、三斗ばかりは二十日足らずのうちに、呑んでしまった。
それ、ご覧なさい。
女房は、四斗樽の運命に対して、己の予言の適中を誇るのであるが、ほんとうはこれからのしょうばいが駄目になったならば、自分達家族はどうして暮らして行くのかという切実な抗議が含みにある。