Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
飼主や村の青年に牽かれる牛は、もう、うおうと唸って、その声は遠方からきこえてくる。既に殺気立っている前景だ。
白髪神社の境内は、南北が高さ二丈ばかりの崖となり、東西が狭い通路。その窪んだ中央が六百坪ばかりの広場になっている。そこが闘牛場で、見物人は崖の上に、何千人と黒くなって立っている。
定刻がきた。境内には、百人あまりの牛方が右往左往して、なにか口々に叫んでいたが、やがて牛方は場の一隅に大きな円陣を組んで、相談ごとをはじめたらしい。相談ごとが終わると円陣の人々は、手を高くあげて賑やかに拍手した。
そこでまた若月氏が、説明する。ここの闘牛は、予め取組の番割というものをこしらえて置かない。その日における牛の機嫌とか、闘志とかを観察斟酌して、相手を定めるのである。つまり甲牛の戦歴、力量を基本とし、きょうの条件ならば、乙牛と組合わせるのが適当であろう。と、いう談合が円陣を作った各村の青年である牛方によって唱和されると、これを飼主に諮って承諾を受ける。そこで、番組が定まった印に、拍手が起こるのだ。
この拍手を見ると、その瞬間に見物人にどよめきが起こった。