Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
三
これは、私の命拾いでありました。実は前日、修繕にやって置いた銃が鉄砲屋から届いたのを、そのまま試しをやらないで舁いで猟に出たために不発であったのです。修繕したら必ず試してみなければなりません。
私は、上信越国境の山々で五、六十の熊の穴を知っています。熊の穴は、もっと他にも数多くあるのでしょうが、人間に発見されるのはそのうちの少部分であると思います。穴の数を多く知っていることが、つまり熊を数多く撃てるという結果になるのですから、随分危険な崖や叢林を跋渉しなければなりません。この地方では私が一番熊の穴の数を知っているのです。
穴といいましても、どの穴にも必ず熊が入っているというわけではありません。その穴で一度熊が撃たれると他の熊は七、八年から十年間くらいは寄りつきません。血の臭いや、火薬の臭い、焚火の臭いなど穴の入口に残っているからでしょう。穴の近所の樹の肌に、熊は歯や爪で印をつけます。これは、縄張りを示すためであろうと考えられています。立派な穴があって、それを大きな熊が発見しても、先住者がいるそこへ侵入しないものです。先住者が小さな熊であっても先住者の権利は尊重する習性を持っているように見えます。