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Japanische Klassiker mit Furigana

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たねこのゆううつ

たね子の憂鬱

芥川 竜之介

Lesen Sie たね子の憂鬱 (たねこのゆううつ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.606 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし気づいていればいるだけますます彼女の神経にこだわらない訣には行かなかった。

彼等はテエブルの隅に坐り、ナイフやフォオクを動かし出した。たね子は角隠しをかけた花嫁にも時々目を注いでいた。が、それよりも気がかりだったのは勿論皿の上の料理だった。彼女はパンを口へ入れるのにも体中の神経の震えるのを感じた。ましてナイフを落した時には途方に暮れるよりほかはなかった。けれども晩餐は幸いにも徐ろに最後に近づいて行った。たね子は皿の上のサラドを見た時、「サラドのついたものの出て来た時には食事もおしまいになったと思え」と云う夫の言葉を思い出した。しかしやっとひと息ついたと思うと、今度は三鞭酒の杯を挙げて立ち上らなければならなかった。それはこの晩餐の中でも最も苦しい何分かだった。彼女は怯ず怯ず椅子を離れ、目八分に杯をさし上げたまま、いつか背骨さえ震え出したのを感じた。

彼等はある電車の終点から細い横町を曲って行った。夫はかなり酔っているらしかった。たね子は夫の足もとに気をつけながらはしゃぎ気味に何かと口を利いたりした。そのうちに彼等は電燈の明るい「食堂」の前へ通りかかった。