Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ひやめしものがたり

ひやめし物語

山本 周五郎

Lesen Sie ひやめし物語 (ひやめしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.861 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

今日は悪日に違いない、吉之助を送りだしながら彼はそう思った。冷飯の乏しい小遣でぽつぽつ集め、綴直したり好みの装幀をしたりして、だんだん殖えるのを楽しみにしていたのに、ここで召上げられては鳶に油揚だ、あの紙入といいこれといいなんと不運な日だったろう、大四郎はすっかりくさってしまった。

明くる日、書名の類別表を書いていると、嫂が来て客を告げた、「堤町の中川さまと仰しゃる方です」という。大四郎はびっくりした、また金が足りないなんて云うんじゃあないか、そんなことさえ思いながら玄関へゆくと、中川八郎兵衛が例の渋くれたような顔で立っていた。邪魔ではないかと云う、なんの用かわからないが客間へ上って貰った。「昨日は済まぬことをした」座へ就くとすぐ老人はこう云って、小さな紙包をそこへ差出した、「一両一分足らぬと申したがあれは思い違いであった、買い物をしたことを失念していたので、まことに済まなかった」

「それはどうも……」大四郎はついにやりとなった。なにはともあれ一両一分という金が返ったのだから大きい、中を検めて受取って呉れ、そう云って出された紙包をそこへ置いて、彼は母親のところへ茶を頼みにいった。