Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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へちまのき

へちまの木

山本 周五郎

Lesen Sie へちまの木 (へちまのき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.120 Zeichen · 58 Bildschirme

Aozora Bunko

「おらあここでもいいぜ」

「野郎二人はいけねえ」木内は手を振った、「一人でもうじがわくっていうのに、二人じゃあ手に負えねえや、文華堂でよしときまったらおれが捜してやるよ」

「やっぱりおめえは他人たあ思えねえ、頼むよ親方」

少しだが金なら持ってると、房二郎が云い、木内桜谷は、今夜ひと晩は泊ってゆくようにと云った。

馬喰町三丁目の文華堂は、道を隔てた向うに郡代屋敷があり、土堤には松林が茂ってい、その土堤囲いの中に池でもあるのか、なにかの水鳥の鳴き交わす声や、飛び立ったり舞いおりたりするのが見えた。――文華堂は土蔵造りの二階建てで、下では絵草紙とか黄表紙、人情本、それに駄菓子などまで売ってい、帳場格子の中にはいつも、主婦のおそでがでんと坐っていた。あとでわかったことだが、絵草紙も人情本など、みなよそで刷って売れなくなった版木を安く買い、とくに黄表紙や人情本は題名と作者名を変えて、新版物のようにみせかけた本ばかりであった。――その店はおかつという二十五になる女中と主婦の二人でやっていた。おかつは背丈も高く、きりょうもいいほうだが、吃りで、暇もなくおそでに顎で使われながら、しょっちゅうびくびくしていた。