Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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へちまのき

へちまの木

山本 周五郎

Lesen Sie へちまの木 (へちまのき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.120 Zeichen · 58 Bildschirme

Aozora Bunko

「それに嘘がなければな」と云いかけて、木内は眼をみはった、「千二百石の旗本ですって」

「おれのじゃあねえ、家に付いた石高だぜ」

「だって房さん、千石以上っていえば御大身じゃありませんか」

「内所は火の車さ、おれの婿縁組も先方じゃあ金がめあてなんだ、へっ」房二郎は肩をすくめた、「おれだって男だ、持参金なんぞ背負っておめおめと婿にいけるかい、そうだろう木内さん」

親方とか木内さんとか呼ばれるたびに、桜谷はくすぐったいような、また誇らしげな気持になるらしい。よく動く眼を細めたり、皺のある小さな顔を撫でたり、口をすぼめたり、躯ぜんたいで貧乏ゆすりをしたりした。

「もってえねえような話だが、気持はよくわかりますよ」と木内は云った、「明日すぐに文華堂へゆきましょう、いまちょうど手不足だし、まず断わられるようなことはねえと思います、もちろんおまえさん、このほうはできるだろうね」

木内桜谷はなにか書くような手まねをした。

「よせやい」と房二郎が答えた、「昌平黌じゃあ松室寧斎のまな弟子だったんだぜ」

「学問と瓦版とはまるで違うんだが、まあいいでしょう、文華堂のおやじにはまたおやじの思案があるでしょうから、ときにねぐらだが」