Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆだんたいてき
ゆだん大敵
山本 周五郎
Lesen Sie ゆだん大敵 (ゆだんたいてき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.664 Zeichen · 41 Bildschirme
けれども喰べてみると稗飯は香ばしくてうまいし、味噌あじのしみた泥鰌の溶けるような肉味や、噛み砕く骨の荒々しさもなかなか悪くはなかった。
しかもぜんたいに云いようのない豊かな感じが溢れている、材料が粗末なだけ、それを大切に活かすつつましい心が籠っていて、どんな珍羞も及ばない豊かな深い味を創りだしているようだ。――そうだ、これが食事というものだ。
汁椀の中の青々とした夏菜を見ながら、久之助は心からそう頷いた。
「これから折々お訪ね申したいと存じますが、お許し下さいましょうか」
食事のあとでそう訊くと、図書はにべもなく無用だと答え、節高な太い指の、大きな手を振った。
「もう会う必要はない」
そして大きな眼でぎろりと睨んだ。
久之助はその頃から性格が変りはじめた、はじめは周囲の者も気づかなかったが、なんとなく俊秀なところがぼやけ、挙措もしだいに精彩を失ってゆくので、――やっぱり二十で凡人の例か、とひとしきり蔭口が弘まった、しかしそれさえほんの僅かな期間で、暫くするとそんな蔭口さえ立たない平凡な存在になってしまった。
かれが二十三歳になったとき、しゅくん忠辰の申付けで、刀法修業のため江戸の柳生家へ入門した。