Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ゆだんたいてき
ゆだん大敵
山本 周五郎
Lesen Sie ゆだん大敵 (ゆだんたいてき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.664 Zeichen · 41 Bildschirme
久之助は暫くそのこえを聞いていたが、やがて結びをつけるようにこう付け加えた。
「口で云えばこれだけのことだが、口で云い頭で理解するだけではほんものではない。道場の日課から身を以てまなんで貰いたかった。ゆるし書の五文字は、まなんだことに終生ゆだんあるなという意味だ」
嗚咽に身を顫わせながら、賢七はそこへ両手を突き、貼り付くように平伏した。
あやまったとも云わず赦しも乞わない。けれども泣きながら平伏している姿は、どんな言葉よりはっきりかれの心を表白していた。
「稽古の時刻だ、顔を洗って来るがいい」
久之助はそう云って部屋から出た。
父が帰宅したのはみんなの夕食が済んでからだった。馳走になったのであろう、珍しく酔って赧い顔をしていた。いや赧いばかりではない、なにか気にいらぬことがあるとみえて、おそろしく不機嫌にしかんでいる。そして、
「部屋へ来い」
と久之助を呼びつけ、赧くしかんだ顔でながいこと睨みつけた。
「おまえは今日、御前で淵田某という武芸者と仕合をしたという」
久之助は膝の上で拳を握った。
「……おまえは一藩の師範として道場をもち門人を預っている、それが他国から来た武芸者に脆くも負けて、どこに師範としての面目があるのだ、それで殿へ申し訳が立つか」