Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆだんたいてき
ゆだん大敵
山本 周五郎
Lesen Sie ゆだん大敵 (ゆだんたいてき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.664 Zeichen · 41 Bildschirme
という言葉には心をうたれた。その夜すぐに、久之助は図書の住居をおとずれた。
……家には三つの部屋しかなかった、むろん雨戸はないし、どの部屋も板敷で畳というものがまるで無い、暗くてよくはわからないが床間の鎧櫃と長押の槍、そして一脚の小さな古机、それが眼につく道具の全部らしい、簡素なくらしだとは聞いていたが、寧ろ荒涼といいたいほど殺風景である、板敷の上へ藁で編んだ円蓙を置いて、燈火もいれず宵闇のなかに主客は対座した。
「もう間もなく月が昇るだろう」
図書はそう云って拳で額の汗を拭いた。
「……あかしが無くとも話は聞える、まず、よく来て呉れた」
「かねていちど参上するつもりでいたのですが、つい今までその折がなかったものですから」
「それならそう思ったときすぐに来るがよい。人間の命は明日を待たぬぞ」
そのひと言は異様な響きをもっていた。そして久之助がはっとしたように眼をあげると、図書はその面を射るようにねめつけた。
「……そこもとは殿の御秘蔵人と云われている。よほどのお気にいりと聞いたが、いったいどのような性根で御奉公をしておるか、いやそれより、さむらいの御奉公とはどのようなものか存じておるか」