Japanische Klassiker mit Furigana
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アパートできいたはなし
アパートで聞いた話
小川 未明
Lesen Sie アパートで聞いた話 (アパートできいたはなし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 2.564 Zeichen · 5 Bildschirme
どこを見ても、ただ自分だけは生きなければならぬとあせっているので、すこしものんびりとしたところがない。もし、おたがいに気持ちをかえて、生活を新しく出なおしでもしなければ、人間は、死ぬまで、この苦しみをつづけなければならぬだろうと、おそろしくなったよ。」
「しかし、お兄さんは、いつもゆかいそうに見えるがなあ。」と、少年は、いいました。なぜなら、頭はきれいにわけているし、くつはぴかぴか光っているし、口笛などふいて歩くし、どこにも、苦労なんか、なさそうだからでした。
「そんなに、ぼくが見えるかえ。」と、青年は笑って、話のあとをつづけました。
「それは、ぼくもたまには、ダンスをやるし、映画や、スポーツを見にもいくさ。なにしろ息づまるような世の中だもの、それくらいはしかたがないだろう。だが、そんなことしたって、なんにもならないよ。ただゆううつを感じるばかりだ。ところが、ほんとうに考えさせられることがあった。町を歩いていたときだ。とつぜん、頭の上の拡声器から、女の声が、がなりはじめて、夏ものの投げ売り宣伝や、駅前に喫茶店が開業した広告や、その他うるさくさえ思ったのを、なに町なん丁目のくつ店では、みなさまによい品をお安くサービスしますといったので、ぼくは、さっそくその店へいってみる気になった。