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Japanische Klassiker mit Furigana

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アンドロギュノスのちすじ

アンドロギュノスの裔

渡辺 温

Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

」

――なぜです?」

――ワクシハ、オマエト、イッショニ、クラスコトガ、デキナクナルモノ。」

――なぜです?」

姉は私の硯箱を持って来た。私は眼に一丁字もない彼女が何をするのかと、訝んだ。ところが姉は筆に墨をふくめて、いきなり私の顔へ、大きな眼鏡と髯とをかいた。それから私を鏡の前へつれて行った。

――立派な紳士ですね。」と私は鏡の中を見て云った。――

――ゴラン!ソノ、イヤラシイ、オトコハ、オマエダヨ。」

姉は怯えた眼をして首を縦に振った。

私は姉をかき抱いて泪ながらに、そのザラザラな粗悪な白壁のような頬へ接吻した。姉は私の胸の中で、身もだえして唸った。

3

姉は、夜更けてから、血の気の失せた顔をして帰って来て、私にご飯をたべさせてくれた。

どんなに、姉は、私を愛しんでくれることであろうか!

姉は腕に太い針で注射をした。――姉の病気は此頃ではもう体の芯まで食いやぶっていた。

姉はそして昼間中寝てばかりいた。姉は眠っている時に泣いた。泪が落ちくぼんだ眼の凹みから溢れて流れた。

私は真昼の太陽の射し込む窓の硝子戸に凭りかかって、半ズボンと靴下との間に生えている脛毛を、ながめてばかりいた。